日本農業工学会は，農業工学及びその技術の進歩発達に資することを目的とし，日本における農業工学分野の学術団体の連携組織として1984年に設立されました．これまでの会員学協会をはじめとして，多くの皆様から頂いてきた継続的なご指導とご支援に心より感謝申し上げます．農業工学は，食料生産の持続可能性を確保し，環境と調和した農業・農村の未来を築くために不可欠であり，創立40年に当たりその進歩の重要さを改めて確認するところです．本学会の設立の経緯やこれまでの歩みは，40周年記念誌などをご参照ください．

現在，日本では，農業従事者の減少と高齢化，生産コストの上昇，気候変動への対応や，情報技術の活用など，農業・農村の課題はかつてなく多様化・深刻化しています．2024年には食料・農業・農村基本法が25年ぶりに改正され，「食料安全保障」の確立がその基本理念として掲げられました．そこでは農業と環境の調和，農地・地域の保全，スマート技術の活用による生産性向上など，本学会が取り組むべき課題とその責任が改めて示されています．

これらの状況を踏まえ，本学会は今後さらに会員学協会との連携を強化し，社会経済的課題の解決と科学技術成果の社会実装に向けた活動を展開させてまいります．学術成果の評価・発信を担う学会賞の授賞や，日本学術会議を通じたCIGR国際農業工学会への参画は，この重要な役割を果たすものです．

日本農業工学会は，農業工学及びその技術の一層の発展に向けて，会員の皆様，関連学協会，研究者や技術者の皆様とともに歩みを進めてまいります．今後とも変わらぬご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます．